光の標本 〜藤野真司 個展
私はこれまで光をテーマにして作品を制作してきました。
どれもガラスやアクリルの表面に、透明な塗料で筆跡が施された作品です。
私たちは普段、日々の暮らしの中で心身をせわしなく働かせ 自分たちを取り巻く光の美しさを度々、見落としてしまっているように思います。
このシリーズ作品は私自身が、そうした窮屈さから抜け出すために制作し始めたもので 大切なものを手に取って標本箱に入れるように、そこら中にありふれた光を もう一度見つめ直したい、という思いから生まれました。
この展示では作品を通して、 カフェの空間に満ちる光をいつもと違う質感で感じてもらえたら、 物理的な移動はせずとも、ささやかな旅に出かけてもらえるのではないかと 考えています。
美術作家 藤野真司